みなさんイルカは好きですか?

一度はイルカと自由に泳いでみたい。
イルカと泳ぎたいからダイバーになった。

なんて方も多いのではないでしょうか?

 

僕はイルカと泳いだことがあります。

泳いだことがある人はきっと知っているでしょう。
イルカは近寄ると、こちらを意識し、しっかりと目を合わせてきたり遊んでくれたりします。

イルカはとても愛嬌のある頭のいい動物です。

 

では、ジャック・マイヨールという人物はご存知でしょうか。

”イルカ” ”ダイバー”といったら”ジャック・マイヨール”と名前が出てくるほど有名な方です。

年上の世代のダイバーなら誰もが知っている偉人です。

しかし僕ら学生ダイバー世代からすると、いまいちピンと来ないというのが本音です。

というのも、ジャック・マイヨールが亡くなったのは2001年、今年の大学1年生が生まれたのも2001年です。
知らなくて当たり前っちゃ当たり前なんですね。

でも僕ら学生ダイバーにも大事な”海や野生動物との向き合い方””生き様”など色あせない魅力のある人物なんです。

これから先、何年も海に潜る僕ら学生ダイバーだからこそ知っておくべき人なのかもしれません。

 

今回は改めて、偉人ジャック・マイヨールの人生について紹介していきたいと思います。

 

ジャック・マイヨールは

”ドルフィンマン”

”伝説のダイバー”

などと呼ばれていた方です。

 

この度、

『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』というジャック・マイヨールの生涯を追うドキュメンタリー映画が2019/11/29より公開となり、ダイバーの間では話題になっています。

 

ジャック・マイヨールの生き方は、とても格好よく尊敬できます。
ただ先に言っておきますが、ある意味"ヤバい"人です。

実際のエピソードも含め、紹介していきたいと思います。

ジャック・マイヨールとは

ジャック・マイヨール(Jacques Mayol, 1927年4月1日- 2001年12月22日)

フランス人ですが、日本との関わりが多い人物です。

後に”ドルフィンマン”と呼ばれることになる彼が、初めてイルカと出会ったのは、まさかの佐賀県唐津市
上海生まれの彼は、子どもの頃家族でよく遊びに来ていたんだそうです。

そう。
ジャック・マイヨールの原点は日本にあったと言っても過言ではありません。

30歳でイルカの調教師としてマイアミの水族館で働き、退職後、英領カイコス諸島で素潜りによる伊勢えび漁を広めます。

それと同時に、フリーダイビングを始め、49歳にして人類史上初めて素潜りで100メートルを超える記録をつくることになります。

そして、『グラン・ブルー』という映画のモデルとなりますが、晩年、うつ病と戦い自殺という形で人生に幕を閉じます。

 

彼の人生の中では「作り話じゃないの!?」と疑ってしまうようなエピソードが山ほどあります。

その中でも僕の中でインパクトが強いエピソードをご紹介しましょう。

ホモ・デルフィナス

ジャック・マイヨールの提唱していた”ホモ・デルフィナス”とは「イルカ的人間」、「体内の潜在的なイルカを覚醒させた人間」を意味します。

すでにこの"ヤバさ"伝わってきませんか?

この”ホモ・デルフィナス”という考え方は以下のようなものです。

イルカやクジラは太古は陸に生息していて、長い時間をかけて海に順応した。
つまり人工機械や手術、外部要因(スクーバタンク等)がなくても、人間の中にある秘めた力やトレーニングによって人間もイルカに近い存在になれるという考え方。

実際にジャック・マイヨールの口癖は

「確かに人間はイルカになれない。最も近い存在になることができる。」

だったそうです。

 

この考えをもとに水深100mまで行けるジャック・マイヨールの体は、通常の人と何が違うのか?

彼自身が被験者となることで、2つの新たな医学的発見に貢献をしました。

①潜水徐脈

人は運動することで心拍数を上げ脈拍も高めることができます。

しかし、心拍数や脈拍を低めるためには運動で解決することはできず、落ち着くなどしか方法がありません。

この心拍数を下げる行為を徐脈といいます。

なんとジャック・マイヨールによって水中という特殊な環境下では徐脈が起きることが発見されました!

人間の脈拍の正常値は毎分60~90程度ですが、フリーダイビング中のジャック・マイヨールの脈拍は毎分26回になっていることが判明しました。

ここからわかったことは人間は少しでも長く息を止めるために脈拍を下げるということ。

つまり水中に順応する可能性があることを示しています。

ちなみに徐脈は冬眠中の動物などでも起きているそうです。

②ブラッドシフト

ブラッドシフトとはヨガや座禅などで行われる特異的血液循環の事です。

特異的血液循環とは血液中の赤血球の量を豊富にし、より重要度の高い所に血を送る体の反応のこと。

この反応がフリーダイビング中に長時間高圧下、かつ低温の水にさらされる状況で起こることがわかりました。

つまり肺に血液を集中させることによって高圧下の環境でも肺は潰れず、長時間息を止めることが可能だったのです。

 

この2つは「なぜジャック・マイヨールが水深100mまで潜れたのか」を紐解き発見されました。

そう、ジャック・マイヨールは「ホモ・デルフィナスは、夢物語ではない」と自身の体で証明したのです。

涼太
超人ですか!?
と言いたくなるエピソード(笑)
ただ、これも挑戦し続けた結果たまたま出てきた副産物。
自分が決めた道を突き進んで、人間の可能性に気づくなんてすごいですね・・・(笑)

イルカに潜り方を教える

人間以外の動物とのコミュニケーションを信じますか?

ジャック・マイヨールは有名なフリーダイバーであると同時に、イルカとのコミュニケーションを図り続けた人でもあります。

人間に飼育され4~5mほどしか潜れなくなった2頭のイルカに潜り方を教えるミッションに挑戦しました。

この無謀とも思えた挑戦になんと彼はあえてスクーバダイビングではなく素潜りのスタイルで臨むことで2頭のイルカを水深45mまで潜らせることに成功しました。

 

なぜ、スクーバダイビングではなく、フリーダイビングを選んだのか。

これを紐解く鍵が『ジャック・マイヨールの遺産』という著書の中にあります。

多くのダイバーたちはタンクの中にはいる時、空気ボンベを背中につけて潜ったりしていましたが、私は素潜りで彼女と同じ条件で水の中に入りました。彼女はそれを理解してくれました。.....(省略)つまり、私は謙虚な気持ちで彼女と接触して、そこで本当のコミュニケーションがとれたと思います。

ジャック・マイヨールの遺産 P.87

※文中の彼女とはイルカを指しています。

これだけ見ると「そんなのキレイごとだ。」とか「思いこみでしょ!」と思う方もいるかもしれません。

しかし、結果は2頭とも水深45mまで潜ることに成功しているんです。

 

イルカと会話する。イルカと信頼関係を結ぶ。

これを友達に真剣な顔で話されたら、メルヘンチックに聞こえバカにしちゃいそうです。

ジャック・マイヨールも世間からそう思われていたかもしれません。

しかし、自分の意志を貫き自分の決めたやり方で動物と向き合う姿勢は格好よく尊敬に値します。

涼太
誰も信じないようなことに挑戦!
しかもやり遂げちゃうってすごく格好よくないですか!?
僕も将来そういう大人になりたい。(笑)

フリーダイビングとは

ここで少し、そもそもフリーダイビングとは何かをお話しておきましょう。

スクーバダイビングのような水中で呼吸をするための装置を持たず、一呼吸で

どれだけ深く潜れるのか
どれだけ遠くまで泳いで行けるのか
どれだけ長い時間呼吸を止めていられるのか

をルールに沿って競うスポーツです。

スクーバダイビングやスキンダイビングは"レクリエーション"や"レジャー"がほとんどですが、
フリーダイビングになると競技性が表れるのが特徴です。

詳しくはこちら

フリーダイビングの光と闇

僕は小さい頃に水泳をやっていたこともあり、泳ぐこと大好き人間です。

スクーバダイビングを始めたことも小さい頃からの夢の1つで『大学生になったら絶対にやる。』と決めていました。

その結果、どハマりし今はインストラクターに。

もちろんフリーダイビングにも興味はあります。

実際にジャック・マイヨールが見た水深100mの世界にはどのような景色が広がっていたのでしょう。

フリーダイビングの光

グラン・ブルーという言葉を聞いたことありますか?

最近では『ぐらんぶる』というスクーバダイビングサークルを舞台とした漫画が話題になったりもしました。

 

フリーダイビングの世界では、水深100mを超えた世界のことを『グラン・ブルー』と指すことがあります。

僕もレジャーダイビングの範囲内で40mくらいまでは行ったことがありますが、届く光は水深と共に徐々に減って行き、暗く濃い青の世界になります。

奥に引き込まれるような感覚になり少しの恐怖さえ感じます。

しかし、自分の呼吸音しかないその世界は、日常生活では体験できない世界でした。

 

でもそこは40mです。グランブルーはさらに60mも深い世界。

ジャック・マイヨールが生きていれば「水深100mの世界とはどういう世界なのでしょうか?」と聞いてみたかった。

 

その世界を知るフリーダイバーの篠宮龍三さんいわく、

”宇宙遊泳と似ているかもしれない。”

と印象的な言葉を残しています。

詳しく知りたい方は島地勝彦さんとの以下のインタビューで語られています。

URL:https://gendai.ismedia.jp/articles/-/50051

このインタビューの中でもう1つ印象的だったのが

スクーバダイビングのように2人で潜ることはないのか?という質問に対して篠宮さんの答えでした。

1人で潜ります。潜って行くと、青がどんどん深くなっていって、恐ろしいくらい深い青になっていくんですね。それをみているのが自分1人しかいないということを、誰かに伝えたいようでもあり、独占したいようでもある、なんともいえない心境になるんです。

ここがスクーバダイビングとの大きな違いかもしれません。

スクーバダイビングではバディシステムが大原則なので、1人で潜ることはできません。

もちろん僕が40mまで行った時もバディと一緒です。

スクーバダイビングは景色や感動を共有できるのが魅力ですが、フリーダイビングの1人の世界というのは全く違う魅力があるのかもしれません。

 

フリーダイビングの闇

フリーダイビングの印象はどういったものでしょうか。

最初に ”怖い” と浮かぶ人も多いと思います。
その印象はブラックアウト(気絶してしまうこと)からきているのではないでしょうか。

フリーダイビングはスクーバダイビングと違い息を止めて挑みます。

息を止め続けると血液中の二酸化炭素濃度が高くなるために酸欠が起こり、失神してしまうことがあります。
このブラックアウトが非常に危険で、死に至るケースさえあるんです。

実際、水深100m往復するのに3~4分程度だそうです。

3~4分くらいなら頑張れば行けそう。と思った方もいるかもしれません。
100mまで行くということは往復200m泳ぎながら息を止めないといけないんです。

また泳ぐ以外に最大の敵は水圧です。

100mということは絶対圧は11気圧、つまり陸上の11倍の圧が体にかかります。

もちろん肺にもかかる訳で...

想像するだけでも恐いですね。

 

この誰も見たことがない世界に挑戦したいという光の部分と、いつ死ぬか分からないという闇の部分が相対しているからこそ魅力的なのかもしれません。

最後に

人間の思想と精神にわれわれの兄弟であるイルカたちのインスピレーションが少しでもあったなら、私たちの地球は以前、そうであったとおなじような、再びパラダイスのようなものになれるだろう。

ジャック・マイヨールの遺産 P.90

ジャック・マイヨールが作ったTシャツに書かれた文章です。

フランス語で書かれたものを日本語訳したため少しわかりにくい文ですが、

お金のため、自分たちのためなどの人間的欲望を捨て、海に受け入れてもらうことが人間には必要だ。

と考えたジャック・マイヨールらしい一説です。

僕たちダイバーの心には刺さるものがあるのではないでしょうか。

現在、世界中でサンゴの破壊や海洋汚染などが問題になっています。

 

人間が欲望のために海や地球を汚し壊していることは一目瞭然です。

それに対して警鐘を鳴らすジャック・マイヨールの言葉からは様々なことが想像できます。

 

今だからこそ共感できること、今だからこそ声を大にして言わなければならないことがジャック・マイヨールの言葉から伝わってきます。

 

ジャック・マイヨールの精神は現代にも受け継ぐべきだし、僕ら若い世代が意識すべきであることです。

ぜひ学生ダイバーのみんなにも見てもらいたい映画です!


 

PS.僕は10/31に 一足早く、試写会にて見てくる予定です。
感想も記事にしていきたいと思いますので、またチェックしてください!

画像提供:有限会社アップリンク

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事