講習では必ずお世話になるインストラクター。
ガイドをお願いする場合も、インストラクターであるケースが多いですね。

ダイビングが楽しくなってくると、自分も楽しませる側に回りたい!と思う人もいるかもしれません。
ガイドをするだけであればダイブマスターでもOK。(日本国内の実情としてはインストラクターを求められることが多いですが…)
そして、ダイブマスターになってみると分かるのですが、ダイバーが楽しそうにしている瞬間に一番多く触れられるのはインストラクターなんです。

それもそのはず、昨日までノンダイバーだった人が初めてダイビングに触れる瞬間、間違いなく誰もが目を輝かせています。

ダイブマスターがアシスタントとして講習に携わったとしても、見られるのは楽しそうにしている後ろ姿だけ…
そんなのずるい!と思って学生時代にインストラクターを取得した僕でした。

 

当時の僕のように、実はインストラクターをやってみたいという人もいますよね。
でも、インストラクター講習ってどんなことをやるのかわからない…

ということで、今回はインストラクター講習の内容をご紹介していきたいと思います!

改めて自己紹介

インストラクター講習の内容って言っても、お前がインストラクター講習受けたのなんてめっちゃ前で、今とは違うんじゃないの?と思われてしまうかもしれません。

ということで改めて簡単に自己紹介。

細谷 拓

どーも、NAUIコースディレクターの細谷 拓です。
このサイトの自己紹介には書いていませんでしたね。

コースディレクターって何?と思ったかもしれませんが、簡単に言うとインストラクターのインストラクターです。
つまり、コースディレクターだけがインストラクターを認定することができるというわけです。

そして今回、皆さんと同じ学生ダイバーが2名、新たにインストラクター講習を行うことになり、実録形式でご紹介してみようというわけです。

今回インストラクター講習に参加した2人

たいちゃん


現在大学3年生(2019年4月より4年生)
大学1年生の時、サークルでダイビングを始める。
西伊豆、雲見でのでっちなどを通してプロダイバーを目指すようになり2年生の時にDM取得。
インストラクター講習参加時点の経験本数は342本。
海洋系の学部なので魚に関する知識が豊富なことと絵が上手いことから、だいがく内のイラストを描くこともしばしば。

たつや


現在大学3年生(2019年4月より4年生)
大学1年生の時、サークルでダイビングを始める。
右も左もわからないまま石垣島でのでっちを経験。2年生の時にDMを取得した後は西伊豆、黄金崎でもでっち。
インストラクター講習参加時点の経験本数は393本。
頭では無く身体で覚えるタイプ。

前提条件

インストラクターというと、なんだか雲の上、経験本数で言えば1000本とか必要なんじゃないの?と思ってしまうかもしれませんね。

実は、そんなことはありません。

指導団体によって多少の違いはありますが50本~100本の経験があればインストラクター講習を受けることが出来ます。

とはいえ、50本や100本でインストラクターができるかどうかは別の話。
同じ100本でもファンダイビングの100本と、最初からインストラクターを目指した100本では質が違います。
また、ダイブマスター(名称は指導団体によります)としての経験によっても変わって来るでしょう。

個人的には300本がひとつの目安だと考えています。
(それでも諸先輩方には少ないと怒られてしまうかもしれませんが…)

もしインストラクターを目指してみたい!という人は、なんとかしてこの300本をクリアしてみて下さいね!

もちろん経験本数を満たしていれば良いわけでは無く、アマチュア認定のほとんどを終えていることが必要です。
そして、プロの一歩目であるダイブマスターを取得することで、インストラクター講習への参加資格を満たすことになります。

全体像

ここからはNAUIのインストラクター講習についてお話をしていきたいと思います。
とはいえ、他の指導団体の方にも話を聞いてみましたが、指導団体が違ってもそこまで大きな違いはないはずですよ!

ちなみにNAUIのインストラクター講習はITC(Instructor Training Course)と呼ばれています。

インストラクター講習を構成するのは以下5つのセクション。

  • 座学
  • クラスルーム(学科講習)
  • コンファインドウォーター(限定水域:プール)
  • オープンウォーター(海洋)
  • インストラクター試験

座学はわかりやすいですね。
読んで字のごとく、講習を行う上でのルールなどを講義形式で学びます。

他の3つに関しては、実際の講習を想定して生徒役に対して講習を行います。
その講習の様子を僕らコースディレクターやインストラクタートレーナー(※)が採点する形で進んでいきます。
この疑似講習をプレゼンテーションと呼んだりします。

※NAUIでのインストラクタートレーナーは、コースディレクターの監督下でインストラクター候補生に指導を行う資格を持つ人のこと。(団体によって呼び方が異なります。)

もちろんただひたすら採点されるだけでなく、採点のフィードバックの中で、どうやったら伝わりやすいか、どうやったら講習生は上手になるか、議論して行くというイメージです。

ただし、実際の講習同様と言っても、全部通したら最低でも3日間程度かかる講習を何度も何度もやるわけにはいきませんよね。
そこで、クラスルームもコンファインドもオープンも、講習の中の特定のトピックを切り出してプレゼンを行います。

そして、インストラクター講習の締めくくりとして試験があるわけですね。

座学

座学で扱う内容は、以下の様なものが挙げられます。

  • 指導団体の理念(一番眠いところ。)
  • 各コースを開催する際のルール
  • 各セクション(クラスルーム、コンファインド、オープン)を実施する際のコツとツボ
  • アシスタントの活用方法
  • インストラクターが直面する可能性のある法的問題
  • 集客方法(これだけで店作れたら苦労無い

はい、ちょこっとNAUIに盾突く感じになっていますが、こんな感じです。
ただ、座学の中で改めて講習というものを紐解いてみると、多くの新たな気付きがあるものですよ!

また、ダイビングそのものへの知識を確認するテストも存在します。
テストに関してはどちらかというとインストラクター試験の際の学科試験対策という側面が大きいものです。

つまり、インストラクター講習の締めくくりとしてテストを行うと言うよりは、テストを通して知識の確認を行い、本試験へ向けて勉強します。

たいちゃん
大学の試験よりも真剣に勉強したよね…

たつや
いや、もはや大学受験ぶりぐらいかも(笑)

たく
大学の勉強もそれぐらい真剣にやったら単位も落とさず済むんじゃないの?(笑)

クラスルーム

ライセンス講習の際に講義形式で座学を行う機会は少なくなっているものの、講義が出来なければ質問に的確に答えることも出来ないので、講義の練習を行います。

間違った知識や危険な知識を与えないことはもちろん、どの様に講義に入ると講習生は聞く体制になってくれるのか、どの様に説明を行うと知識が定着しやすいのか、などと言ったことを中心に練習して行きます。

時にはコースディレクターからだけでなく、生徒役として参加をしてくれた先輩インストラクターからアドバイスを受けることも。

テキストに書いてある知識、インストラクター講習を受ける様なダイバーであれば当たり前に理解をしている…
と思い込んでいるだけのものが見つかることもしばしば。
実際に教える側に回ると、なんとなくで理解したつもりになっていることが浮き彫りになってくるんです。

例えば今回の講習中にはこんなやりとりも。

たつや
(プレゼン中)水は空気よりも密度が高いため、熱を奪う力も強く…

たく
あれ?密度と熱伝導率ってホントに関係あるのかな?

たいちゃん
そういえば絶対にそうか、ちょっとわかんないですね

たく
うん、俺もわかんない。ちょっと調べてみよっか。

たつや
なんかだいたいは密度によるものの、絶対とは言えない、みたいな文献見つけました!

たいちゃん
あれ?空気よりも熱伝導率の低い断熱材を作ってる会社ありましたよ!笑

たく
反例出来ちゃったね(笑)NAUIに確認するわ
こうしてNAUIにテキストの内容の正確性について確認することに。
有識者に確認するとのことで、記事公開時点ではまだ返答がありませんが…

小学生ほど無邪気に難しい質問をする、というのと同じように、ライセンス講習を受ける人ほど無邪気に難しい質問をするものです。
その質問に的確に答えられるようになるため、ダイビングに関する知識は「なぜ?なぜ?」を突き詰め、120%の理解を進めます。

コンファインドウォーター(限定水域:プール)

ここからは実際に身体を動かしながらの練習です。
プール講習の練習では、スキルの教え方を練習します。

基本的に、スキルはプール講習で完璧な状態にしてから海に向かうという考え方なので、このセクションでスキルの教え方を完璧にします。
効果的かつ効率よく講習を行うためにはどの様にすれば良いのか、コースディレクターや生徒役の先輩インストラクターと共に考えていきます。

クラスルーム同様、スキルを細かくひも解いてみると、無意識に行ってしまっていることや悪いクセなどがどんどん見つかってきます。

例えば足の立つところで潜降する場合、片足ずつ地面から離すのか、両足一気に地面から離すのか、はたまた地面からは足を離さないのか。
どれが正解ということはありませんが、何が講習生にとって一番やりやすいか、実際に試しながら話し合ったりもしました。

また、講習生はインストラクターの真似をしながらスキルを覚えていくもの。
そのためにデモンストレーション(お手本)を見せるわけですが、講習生の完成度はデモンストレーションの80%程度になるものです。
そこで、120%完璧なデモンストレーションを実施できる様になることも重要な内容ですね。

例えばマスククリアひとつをとっても、細かい手の動きまで完璧にしていきます。
みなさんはマスクのフレーム、どこをどの様に、どの様な手の形で抑えていますか?

たく
たつやさ、マスククリアのデモ、間違ってはいないんだけど、それだとマスクのスカート押さえてる様に見えるよ

たつや
(鏡で見て)確かに…じゃあ指先で押さえたらフレームってわかりやすいですかね?

たく
もう一息。親指がフレームの下側にかかっちゃってるから、下をあけてる様に見える。

たいちゃん
フレームの下空けた方が抜きやすく無いですか?

たく
絶妙なタイミングで閉められれば良いんだけど、何も知らずに下あけてやると水が残りやすいだよー

オープンウォーター(海洋)

海洋では安全管理とスキルの修正を中心に練習します。

たく
たいちゃん、なんで海洋ではスキルの修正をやるのに、プールではやらないと思う?

たいちゃん
確かに、スキルの修正するならプールのうちにやっておくべきですよね。プールは穏やかで間違える可能性も低いから?

たく
可能性低くても修正しなきゃダメでしょ(笑)たつやわかる?

たつや
プールまではアシスタントインストラクターが教えられますよね。アシスタントインストラクターはまだ未熟なので、間違いを修正しきれていない可能性があるからじゃないですか?

たく
(そーいやこいつ、昨日各プロライセンスの違いを勉強してたな…)アシスタントインストラクターも立派なプロだから…
僕の個人的な解釈はというと
プールでスキルを教えられれば海でも教えることはできる
海で安全管理とスキルの修正を行うことが出来ればプールでも安全管理とスキルの修正を行うことができる
ということだと思っています。

プールでも安全を確保することはもちろん重要ですし、スキルを修正してあげることも重要です。
とはいえプールに関しては、ほぼほぼ安全が確保されており、スキルも修正というよりは手取り足取り教えることになるので、プール講習のセクションではスキルの教え方に集中します。

一方海洋では当然プールとは違い、波や流れ、水温、透明度など考えなくてはならないことが一気に増えます。
そして、その様々な要素を的確に判断しながら安全を確保できるよう、安全管理する練習を行います。
この、その安全管理を行いながらもスキルの間違いを修正できるという技術が、間違いを正しく修正するだけでなく、素早く的確に修正する技術に繋がるわけですね。

少し面白いのが評価項目の作られ方です。

ここまでご紹介してきたセクション、クラスルームでは10項目の評価項目、プールでは6項目の評価項目となっています。

しかし、海洋での評価項目はたったの3項目。

クラスルームであれば少しのミスは他の所で加点されることで取り返すことが出来ますが、海でのミスは取り返すのが非常に大変なんです。

それはそうですよね、クラスルームで失敗しても命には関わりませんし(少なくともその場では)、プールも基本的に安全が確保されています。
しかし、海での失敗は危険に直結するため、この様な採点表になっています。

ミスできないというプレッシャーからか、海に到着してからもイメージトレーニングに余念がありません(笑)

ちなみに2人とも、ブツブツ呟きながらやってます。

広い海を前に、めちゃめちゃシュールな光景…(笑)

インストラクター試験

インストラクター講習を経て、インストラクター試験の一発勝負でも全ての項目で合格点が取れるレベルに達すると、インストラクター試験へと参加することになります。
ちなみにNAUIのインストラクター試験はIQC(Instructor Qualification Course)と呼ばれています。

インストラクター試験の内容は以下の通り。(NAUIの場合)

  • ペーパーテスト
    一般科目50問、NAUI25問、法的側面25問、3項目全て75%以上で合格

    • 一般科目
      科学・物理/生理学/環境/器材/減圧/技術とレスキュー/指導法
    • NAUI
      NAUIが定める規準について
    • 法的側面
      保険や賠償責任、法律などについて
  • クラスルーム(学科講習)
    ある1つのテーマで評価項目10項目の平均点が3.0点以上(5点満点)
    チャンスは2回
  • コンファインドウォーター(限定水域:プール)
    ある1つのテーマで評価項目6項目の平均点が3.0点以上(5点満点)
    但し、特定の項目に1点が付くと、その場でそのプレゼンテーションは1.0点になる。
    チャンスは2回
  • オープンウォーター(海洋)
    2つのテーマの評価項目3項目(×2回)の平均点が3.0点以上(5点満点)
    但し、特定の項目に1点が付くと、その場でそのプレゼンテーションは1.0点になる。
    チャンスは1回
    (例えば1つ目のテーマ、特定項目で1点がついてしまうとそのテーマは1.0点となり、2つ目で5.0点を取らなくてはいけない)

これに合格すると、晴れてインストラクターとして活躍できるというわけですね!

もちろん、ここがゴールではなく、インストラクターとして少しずつ経験を積んで行くことが一番重要なこと。
冒頭で、インストラクター講習を受ける目安として300本と言いましたが、経験本数で1000本、講習人数で100人程度がインストラクターとして認められる目安でしょうか。

インストラクターを取りたい学生へ

まずは経験が重要です。

目安の300本の内容も、ただ何も考えずに潜るのか目標を定めて潜るのか、仲間内だけで潜るのか先輩プロダイバーの近くで潜るのか、濃さが変わってきます。
500本潜っていてもインストラクター講習で苦労する人は居ますし、200本程度でも即戦力となり得る人は居ます。

少しでも気になる人は、様々な場所で、様々な経験を積んでみて下さいね!
もちろん、我々だいがくとしては研修先をご紹介するという形でもお手伝いできるので、気になる人はお気軽にご連絡下さい!

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インストラクター取得を目指している人でなくても、ダイビングショップでの研修は、アルバイトよりも留学よりも通常の企業インターンよりも、貴重な経験となることをお約束しますよ!

 

また、インストラクターを取得したいけどお世話になっているショップではインストラクター講習が開催出来ない…(インストラクター講習を実施可能なショップは各指導団体とも限られています)
インストラクター講習に入ったけど、インストラクターレベルの知識を質問できる人がいない…(担当コースディレクターに聞いたら逆に怒られそう…)
などなど、ダイビングに関することならインストラクターレベルの内容であってもお気軽にご相談下さいね!

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