学生ダイバー
ワークマンってなんだろ?ダイビングメーカーでは無さそうだけど…ダイビングショップかな?

大人ダイバー
作業着屋さんですよ!最近は若者にも人気みたいですね!

ちょっ!!!!!!!

先日Twitterでこんなやり取りを目にして、色々と考えてしまった僕です。

まず驚いたのはワークマン(作業着屋さん)が学生には知られていないこともあるという点…

ワークマンと聞くだけで、吉幾三さんの歌声と共に

「行こうみんなでワークマン♪」

と勝手に脳内再生される僕ですが、もはやこれ、ジェネレーションギャップなんですね…
いやなんなら他の部分も歌えちゃいますよ。

これ。

冒頭のやり取りで大人のダイバーの方が「最近は若者にも人気」と指摘している様に、ニュースなどで若者人気が出ていることは知っていたのですが、知ってる人は知っている、知らない人は知らない、といった感じなんですね。

というかこのCM、もう放送されていないんですね…

ワークマンはダイバーの強い味方

ここから本題

作業着屋さんのワークマンが知られていないことにも驚きましたが、ダイビング、ワークマンと言ったらロバート・ワークマンでしょ!と最初に思い浮かびました。

いえ、間違いなく思いつく人の方が少ないと思います。

でも僕にとっては、ダイバーが「ダイコン」と言われたとき、真っ先にダイビングコンピューターを思い浮かべるような物だったのです。

これはダイコン以来の勘違いワードの発見だ!と喜び勇んで筆を走らせています。

ダイビング業界のワークマン、実はすごい人で、ダイバーなら全員彼の功績の恩恵を受けているんですよ!

ということで、今回はロバート・ワークマンについてご紹介して行きたいと思います!

ロバート・ワークマンって誰?

簡単に言うと、アメリカ海軍の人。

アメリカ海軍で減圧理論の研究をしていた人です。

減圧理論に革命的な進化をもたらした人物で、今日のダイブテーブルやダイブコンピューターの基礎を完成させたのはワークマンだと言っても過言ではありません。

とはいっても、ワークマンの名前は知らなくても安全にダイビングを行う上で何ら問題は無いので、忘れてもらってもOKです(笑)

ただし、ダイブマスターやインストラクターレベルの試験には名前が登場することも多いので、プロを目指す人は覚えておきましょうね!

ワークマンは何をした人?

ここからはワークマンの功績についてご説明していきたいと思います。

ただ…

ワークマンの功績は間違いなく大きいのですが、それを説明するためには、どうしても前置きが長くなってしまうので、しばしお付き合いを。

減圧症を防ぐための減圧理論、現在では様々な理論が開発されていますが、最も基礎的な考え方は以下の通りです。

  • 圧力下で空気を吸うと、体内に窒素が溶け込む
  • 一定以上の窒素が溶け込んだ状態で浮上すると減圧症を発症する

基礎の基礎なので、忘れてしまったという人はこちらから復習してくださいね!

「一定以上の窒素が溶け込んだ状態で浮上すると減圧症を発症する」ので、減圧症にならないために、一定以上の一定ってどれだけ?ということを考えるのが減圧理論です。

まだワークマンは出てきません。
最初に減圧理論に大きな功績を残したのはホールデンという人です。

この名前もプロレベルのテストでは良く見かけますよ!

ホールデンがもたらした最も大きなものは2:1の原則というものです。

ホールデンはこれに加え、コンパートメント、ハーフタイムの概念も生み出しました。
現在の減圧理論の根幹ほとんどを生み出したと言っても過言ではありません。

コンパートメントは簡単に言うと、身体の組織ごと(骨、筋肉、血液、などなど)に窒素の給排出スピードが違うはずだよね!分けて考えようね!ということです。

さらに詳しくはこちらから。

ハーフタイムは簡単に言うと、窒素の吸排出スピードは指数関数的に進み、その組織に溶け込むことの出来る窒素のうち、半分の量が溜まるまでにかかる時間です。
んーーー、コンパートメントより少し難しでしょうか。
理系の人には「化学の分野での半減期と同じこと」と言えば伝わるでしょうか?

詳しく知りたい方はこちらからどうぞ。

ここではホールデンがもたらした2:1の原則が一番重要です。

これは、組織が吸収する窒素の圧力は、周囲圧力の2倍を越えてはいけない、という原則です。
逆に、これを守っていれば減圧症を防ぐことが出来るとホールデンは考え、実際にほとんどその通りであったのです。

言葉で説明するとややこしいので具体的に考えてみましょう。
(以下、厳密には窒素分圧で話を進めるべきですが、簡単にするために全て大気圧で例示します)

水深10mの水圧は2気圧、地上は1気圧ですね。
この比率は2:1です。
水深10mで呼吸をしている分には体内の窒素も2気圧にしかなりません。
つまり、ホールデンの原則に従えば、水深10mまではどれだけ長い時間潜っても減圧症にはならないということになります。
(実際には水深10mでも減圧症になる場合はあります。ホールデンの理論は100年以上前の理論なので…)

では水深10mより深くに潜る場合はどうでしょう?

水深20mまで潜る場合。
水圧は3気圧です。
2:1の原則で考えると1.5気圧、水深15mまではどれだけ長い時間水深20mに居たとしても浮上可能ということです。
そして、水深15mに留まって余分な窒素を排出し、水面まで徐々に浮上しようと考えました。

ちなみにこれを減圧停止と言います。

もちろん、水深20mに到達してすぐに体内の窒素が3気圧になるわけではなく、ハーフタイムの考え方に基づき、徐々に3気圧に近づいていきます。
なので、水深20mまで潜ったとしても、体内の窒素が2気圧に達する時間内なら、水面の1気圧との比が2:1以内なので、直接水面まで浮上することが出来ます。

そして、この直接水面まで浮上できる時間内でダイビングを行っているのが、我々の行っているレジャーダイビングなわけですね!

安全停止

いよいよワークマンの登場です。

彼が減圧理論にもたらしたものとはM値という発明です。

簡単に言うと、ホールデンは組織ごとに考えようぜ、組織ごとにハーフタイムも違うぜ、って言ったけど、だったら2:1って比率だって組織ごとに違うに決まってるじゃん、ということです。

先ほどホールデンの理論では水深10mまではどれだけ潜っても減圧症にならないと言いました。

ワークマンは3:1や2.5:1など、2:1以上窒素が溶け込んでも問題ないコンパートメントもあれば、1.8:1や1.5:1など、2:1で窒素が溶け込んでしまうと危険な場合があると考えたのです。

彼はこの考えをもとに、各コンパートメントの比率を実験的に求め、減圧理論に飛躍的な進歩を与えました。

ワークマンの発表は1960年代のこと、今から約70年前の出来事です。
70年の間、より安全なダイビングを求めて減圧理論は進歩しています。
しかし、特に窒素の吸収という点で見れば、今でもワークマンの発明したM値が全ての出発点となっています。

PADIのダイブプラナーにも、NAUIのダイブテーブルにも、どこの指導団体の物でも、ワークマンの考え無くして今のダイブテーブルは成り立ちません。

アクアラングのダイブコンピューターでもMaresのダイブコンピューターでもどこのメーカーの物でも、ワークマンの考え無くして今のダイブコンピューターは成り立ちません。

今僕たちが安全にダイビングを行うことが出来るのは、ワークマンのおかげということですね。

ということで、明日からはダイバーなら「ワークマン」と言われたら、感謝の気持ちと共にロバート・ワークマンのことを思い出しましょうね!(笑)

 

ちなみに…

作業着屋さんのワークマンにはダイビングに出かけるときに便利な防水グッズや、ダイビンググローブの代用となる様な物も売っており、実はダイバー御用達のお店でもあります。

ロバート・ワークマンと共に、作業着屋さんのワークマンも、学生ダイバーなら知っておきましょうね!(笑)

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