『Q.減圧停止は全てのダイビング終了前に行う。○か×か?』

この問題、○だと思った方も多いのではないでしょうか?

 

答えは×。

 

え?でも浮上する前に3分間、停止する様な…

それは安全停止です。

 

ただ、減圧停止として5mで数分間停止することもあり得ます。

 

はい、こんがらがって来ましたね?(笑)

 

今回は、似たような言葉、似た様な行動でも全く違う意味を持つ、減圧停止と安全停止の違いについて、ご説明したいと思います!

 

まず大前提として覚えておいて欲しいのは

減圧停止は普段のダイビングでは行わない

ということです。

 

そもそも普段のダイビングって?

減圧停止と安全停止の違いを説明するためには、そもそも普段僕らが行っているダイビング、レクリエーショナルダイビングについて考えてみる必要があります。

 

様々な定義が考えられるとは思いますが、簡単に言うとこうなります。

  • 水深40m以内(ランクによっては30mや18m、12m)
  • 水面まで直接浮上することが可能(一部例外的な解釈あり)
  • 無減圧潜水

逆に、これ以外は全てテクニカルダイビングと言って良いと思います。

 

さて、1つ目と2つ目はわかりやすいですね。

 

3つ目の無減圧潜水、これだけ何やら難しそうな言葉です。

 

もう少しかみ砕いて言うと

『どのタイミングで水面まで浮上しても、急浮上でなければ理論上減圧症になることは無い範囲で潜る』

ということになります。

 

減圧停止とは?

僕らの普段のダイビング(レクリエーショナルダイビング)では無減圧潜水を行うと言いました。

理論上は減圧症にならないはずの範囲で潜るということでしたね。

 

この無減圧潜水の反対は減圧潜水です。

減圧潜水の場合、減圧理論から導き出された水深と時間に従って、段階的に浮上を行います。

イメージとしては、最大水深40mで20分遊んだら、9mで10分停止、3mで15分停止してから水面まで浮上する、という感じです。
※もちろんイメージなので数字は適当です。

 

この、●mで▲分停止する、ことを減圧停止と呼びます。

 

減圧停止が必要なはずだったのに、減圧停止を行わずに水面まで浮上してしまうと、理論上は減圧症になるということです。

 

冒頭で『減圧停止は普段のダイビングでは行わない』と言ったのは、この様に減圧停止はテクニカルダイビングの世界で用いられるテクニックだからなんです。

 

テクニカルダイビングだけで行われるものということは、減圧停止は我々には関係ない?

 

実は、そうとも言い切れません。

 

無減圧潜水を行うために、ダイブテーブル(プラナー)やダイブコンピューターの使い方を勉強しましたよね?

減圧症にならないために、と教わったかもしれません。

そういえば忘れた…という方はこちらから!!

 

ダイブコンピューターの場合、なにはさておきDECOを出さない、というのが無減圧潜水の範囲内で潜るということになります。

 

では、何かの間違いでダイブテーブルやダイブコンピューターの指示してくれた限界ギリギリの時間を超えてしまったら…?

 

とりあえず速やかにあがる。

のも間違いとは言い切れませんが、簡易的に減圧停止を行うことで、減圧症発症のリスクを下げることが出来ます。

 

ダイブテーブルやダイブコンピューターが安全ですよ、と教えてくれるのは

そのまま水面まで上がっても大丈夫ですよ

という意味です。

 

逆に言うと、ダイブテーブルやダイブコンピューターの範囲を超えてしまったら即減圧症、というわけではなく、正しい手順で減圧停止を行ってから浮上をすれば、減圧症を防ぐことは可能です。

 

ライセンス講習を隅から隅まで覚えている人は、教わった記憶がしっかり残っているかもしれませんね。

ダイブテーブルであれば、無減圧潜水の範囲を超えた時間が数分以内の場合、簡易的な減圧停止の水深と時間も書いてありあす。

ダイブコンピューターであれば、DECOが出た時点で簡易的な減圧停止の水深と時間を表示してくれます。

 

だからといってDECOを出して良いというわけではありませんよ!

あくまで簡易的な減圧停止なので、減圧症を防ぐというよりは、可能性を下げる、ぐらいに思っておいて下さい。

 

DECO、ダメ、ゼッタイ。

 

まとめると、減圧停止とは…

直接水面に浮上すると減圧症を発症してしまうほどに窒素が体内に溶け込んだとき、特定の水深で特定の時間停止すること、です。

 

そして、レクリエーショナルダイビングでの減圧停止は…

  • 原則として行ってはいけない
  • ただし、何らかの理由で無減圧潜水の範囲を逸脱してしまった場合には簡易的に行う

ということになります。

 

安全停止とは?

安全停止とは、ダイビング終了前に水深5mで3分間停止すること、ですよね。

 

では減圧停止と何が違うのでしょうか?

大きな違いとしては以下の通りです。

  • 減圧停止
    これを行わないと理論上減圧症になる。
  • 安全停止
    これを行わなくても理論上減圧症にならない。

 

減圧停止の説明の時から『理論上』と必ずつけているのにはワケがあります。

 

理論上減圧症にならないはずの普通のダイビング(レクリエーショナルダイビング)を行っても、減圧症を発症してしまう人は少なからず居ます。

個々人の体質やダイビングの内容だけでなく、減圧理論はまだまだ仮説的な部分も多く、完璧では無いということも理由として挙げられます。

 

そもそも、レクリエーショナルダイビングの定義として

どのタイミングで水面まで浮上しても、急浮上でなければ理論上減圧症になることは無い範囲で潜る

とご説明しました。

 

それなのにどの指導団体のテキストにも

ダイビング終了前には必ず安全停止を行うこと

と書いてありますよね。

 

あれ??

なんだか矛盾していませんか??

 

この辺りも減圧停止と安全停止がこんがらがってしまう原因かもしれませんね。

 

僕が講習で説明するときにはこの様に説明します。

 

安全停止とは…

  • 5mで3分間停止することで、より減圧症発症のリスクを下げることが出来る。
  • したがって、可能であれば全てのダイビング終了前に行う。
  • ただし、本来は行わなくても良いはずなので、流れや透明度など、その他のリスクの方が大きいと判断した場合には行わない

最後の項目、もしかしたら指導団体の方からお叱りを受けるかもしれませんが…(笑)

 

安全停止の根拠

もう少し踏み込んでみましょう。

 

そもそも、どのタイミングで水面まで浮上しても良かったはずのレクリエーショナルダイビング、なぜ安全停止というものが出てきたのでしょう?

 

その時代を生きてきたわけでは無いので確証はありませんが、この様な歴史が語り継がれています。

 

先ほどもご説明した通り、個々人の体質やダイビングの内容、減圧理論がまだまだ発展途上ということもあり、無減圧潜水であっても減圧症を発症してしまうケースが後を絶ちませんでした。

これを憂いた指導団体が、テクニカルダイビングの減圧停止を参考にしてみようと考えたわけです。

 

テクニカルダイビングの減圧停止は様々な水深で行いますが、最後の減圧停止の水深は3mです。(なぜ?とは突っ込まないでください笑)

であれば、この最後の減圧停止だけでも導入できれば、減圧症の発症を減らすことが出来るはずだと考えたわけですね。

 

あれ?でも安全停止の水深は5mですよね?

5mになった理由としては、水深が浅ければ浅いほど、浮力コントロールが難しくなる、ということがあります。

浅ければ浅いほど圧力の変化が大きくなるのがその原因ですが、『?』となった人はこの記事の最後の方を読んでみてください!

 

ということで

  • なんか無減圧潜水でも減圧症になる人がでちゃうな
  • テクニカルダイビングの減圧停止を真似すれば減圧症も減るのでは?
  • でも3mでってのは難しいから、5mぐらいにしとこうか

と、何ともフワっと定められたのが安全停止なんです…

 

そして、果たして減圧症予防に効果があるのか無いのか、研究結果は少なく、断定的なことは今でも言えないというのが実情の様です。

 

ただし浮上後の体内の気泡の量、という点では安全停止を行った方が気泡が少ない、という研究結果も複数報告されているため、少なくとも全く効果が無いということは無さそうですね。

 

あれ?身体に気泡が発生すると減圧症になるんじゃ…

そう思った方、鋭いですね。

サイレントバブル、マイクロバブル、気泡理論、さらに難しい話になってくるので、またの機会とさせて下さい。

 

安全停止についてのまとめ

必ず行わなくてはいけないと言われることの多い安全停止ですが、メリットがありそう、デメリットは特になさそう、ぐらいの感覚だったりするわけです。

 

そこで僕は

『ただし、本来は行わなくても良いはずなので、流れや透明度など、その他のリスクの方が大きいと判断した場合には行わない』

という説明を付け加えているんですね。

 

ここまで読んで下さった方の中には『安全停止はやらなくても良い?』と感じた方もいるかもしれませんね。

5mで3分、わずかな時間です。

浅場って、普段スルーする分まだ知らない面白さがあったりもします。

安全停止に大きな効果があると断言はできないものの、逆にデメリットがあるというわけでもないので…

 

安全停止、必ず行いましょう

 

指導団体や諸先輩方に怒られないように保険をかけて、終わりたいと思います。(笑)

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